印鑑

2011年12月27日 掲載

 印鑑とは、あらかじめ官公署や取引先に差し出しておく印影(印を押した跡の形)のことをいいます。一方、いわゆる「はんこ」は、印形と呼ばれます。つまり、印形を押したときに残る跡が印影で、そのうち官公署等に差し出されているものが印鑑というわけです。

 印鑑には、実印認印が存在します。
 実印とは、本店所在地の法務局(個人の場合は、住民登録している市町村長)にあらかじめ登録している印鑑のことをいい、それ以外の印鑑を認印といいます。法人の場合、代表取締役印(いわゆる「丸印」)を実印、社名印(いわゆる「角印」)を認印として使用していることが多いでしょう。

 法人の場合は、登記申請書に押印する印鑑を予め提出しなければなりません(商業登記法20条)。登記所に提出する印鑑の大きさは、辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形の中に収まるものでなければなりません(商業登記規則9条3項)。また、印鑑は照合に適するものでなければならない(同規則9条4項)とされています。
 印鑑の提出は、法人の代表者が個人の資格で行うため、代表取締役が変更になったときは、届出が必要となります。

 これに対して、個人の印鑑登録については、法律の規定がなく、各市町村の事務として行われています。そのため、印鑑登録の方法や登録できる印鑑(印鑑の大きさ、材質、記載事項など)についても、旧自治省の通知にならって、各市町村が条例で定めています。

 法律上、実印の押印が求められている場合(商業登記、不動産登記や自動車の登録、公正証書の作成など)を除き、実印であっても認印であっても、押印の法律上の効力は変わりません。
 ただ、契約締結権限者が本当に契約を行ったのかが争いとなる場合には、公的機関が本人の印と証明してくれる実印のほうが有効性を肯定しやすいといえます。
 したがって、重要な契約の場合には、実印の押印を求めるとともに、印鑑証明書の添付を求めるべきでしょう。


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