株主総会議事録の作成者 3~株主総会に出席した人であるべき?~

2013年8月27日 掲載

 株主総会議事録の主な意義は「単なる事実の記載」です。
 法律も、出来上がった議事録に「作成者」の氏名記載を求めてはいるものの、基本的に議長や出席取締役といった「出席者」の記名押印等を求めてはいません(会社法施行規則第72条第3項第6号)。
  これだけを見ると、議事録作成者である取締役が総会に出席したか否かは、あまり問題にならないようにも思えます。
 しかし、本当に議事録作成者は株主総会に出席しておく必要がないのでしょうか?

 議事録と登記申請との関係を考えてみましょう。

 議事録単体で使用するときは、先ほど述べたように、記名押印によって議事録の内容を担保させることはありませんが、議事録を登記申請時の添付書類として使用する場合は別です。

 たとえば、取締役会非設置会社が、株主総会議事録を「代表取締役を選定したことを証する書面(商業登記規則61条4項1号)」として登記申請書に添付する場合。
  このときの議事録には、議長および出席した取締役の記名押印が要求されます。

 他にも、不動産登記申請の際に利益相反取引を承認する議事録として添付する場合に、議事録作成者の記名押印が必要になります(不動産登記令7条1項5号ハ同19条1項)。

 したがって、上に示したような、議事に関与した者の記名押印によって議事録の真正を担保させるものについては、例外的に、議事録作成者を総会に出席した取締役に絞るべきと思われます。

 また、取締役会議事録に関する規定を参考までに見てみると、こちらでは議事録作成者である取締役の記載を求めていない代わりに、出席した取締役及び監査役の署名を要求しています(会社法369条3項)。

 こうした事情とのバランスを考えても、迷った時は、できるだけ出席した取締役を作成者に据えるのが無難といえるでしょう。


上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。