決議事項の上程及び審議(4) ~取締役及び監査役選任の件2~

2014年3月19日 掲載

 前回は議案において取締役及び監査役選任の件を上程・審議・決議の株主総会議事録への記載についての概略を説明しました。今回は、具体例を示して説明したいと思います。

○取締役選任の場合の具体例

 議長から取締役全員○名は本総会をもって任期が満了するので、改めて○名の選任を願いたい旨の説明を行い、議長から別添提供書類記載の候補者○名について一括して賛否を諮りたい旨議場に諮ったところ、賛成多数をもって一括採決の方法による事を承認可決した。よって議長は本議案を諮ったところ、議決権行使書を含め賛成多数をもって原案どおり承認可決し、前記○名の各氏は就任の承諾をした。

 これは、取締役全員を再任する場合の記載例です。
 一括選任によること及びその承諾の記載がなされた上で、一括選任の決議により可決されたことが示されています。その後、選任決議がなされた取締役が就任の承諾をした旨の記載がなされています。これは、典型的な記載方法であるといえます。

 議長より、本総会終結の時をもって取締役全員の任期が満了するので、取締役として、甲、乙、・・・の12名を再任の決議をし、新たにA、Bの2名を選任したい旨の説明をし、一同に諮ったところ、過半数の賛成を得て原案どおり決議が可決され、丙を除く13名はその場でそれぞれ就任を承諾した。

 これは、取締役の一部を再任した上で、新たな取締役を選任する場合の記載例です。こちらも一括選任の決議によるとは明示されていないものの文面から一括選任であることが分かるようにはなっています。
 そして、選任された取締役全員が株主総会に出席していない場合には、選任された取締役全員が就任の承諾の意思表示をすることはできないので、誰が就任の承諾をして、誰が就任の承諾をしていないのかを明確にしておくことが必要です。

○監査役選任の場合の具体例

第○号議案 監査役○名選任の件

 議長は、本議案について、本定時株主総会終結の時をもって、監査役X、Y、・・・及びZの○名が任期満了となるので、○名を選任することとし、その候補者は別添招集通知の株主総会参考書類記載のα、β・・・及びγの○名である旨及び本議案の総会提出には監査役会の同意を得ている旨の説明があった。
 次いで、議長は本議案についての賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の大多数の賛成を得たので、本議案は原案どおり可決された。その後、選任された各監査役はその場で就任承諾をする旨の表明をしたので、上記のとおり確定した。

 監査役の選任の場合の手続の記載方法も基本的には取締役の選任の場合と異なることはありません。ただし、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意が必要です(会社法343条1項・3項)。そこで、株主総会議事録にも監査役会の同意があった旨の記載をしておくことが必要です。


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