決議事項の上程及び審議(7) ~定款一部変更の件~

2014年4月9日 掲載

○定款変更をするには?

 定款は会社の根本規則です。会社は、定款を変更することができますが、会社の根本規則を変更するので、株主に大きな影響を与えます。そこで、原則は株主総会の特別決議によることが必要です(会社法466条309条2項11号)。ただし、株式に譲渡制限の定め(会社法107条1項1号)を設ける場合には、株主保護の必要性がとても高いといえることから、株主総会の特殊決議が必要です(会社法309条3項1号)。また、複数の種類株式を発行している場合には、一定事項についての定款変更がある種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、種類株主総会の決議が必要です(会社法322条1項1号)。
 他方、現に2以上の種類の株式を発行している会社でない株式会社においては、1株をA株に株式分割する際に、発行可能株式総数を現在のA倍の数以下の範囲で増加させても株主の利益が害されることがないことから、株主総会決議は不要で、取締役会決議等で決定されることとなります(会社法184条2項)。その他、単元株制度を設けている会社が、単元株式数を減少させたり単元株式数を減少させたり単元株式数の定めを廃止する場合にも、取締役会決議等により行うことができます(会社法195条)
 このように定款変更について株主総会決議が必要な場合には、株主総会において議案として上程し審議した上で決議がなされる必要があることから、株主総会議事録においてもその旨を記載しなければなりません。

●決議の種類

 <特別決議>
 当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない(会社法309条2項柱書)。

 <特殊決議>
 株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない(会社法309条3項柱書)。

■具体例

第2号議案 定款の一部変更の件

 ・・・・・出席株主に対し本議案の賛否を諮ったところ、書面及び電磁的方法による議決権行使も含めて出席株主の議決権の3分の2を超える絶対多数の賛成をもって別紙(2)のとおり承認可決された。

別紙(2)

定  款(一部)

 第1条 当社は□□□株式会社と称し、英文では□□□CO.LTD.と称する

付   則

 第1条の商号変更は、平成●年●月●日から実施する。

第●号議案 定款一部変更の件

 ・・・その他質疑がなかったので、議長は本議案についての賛否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成(書面による原案賛成の株主○○名、その議決権数○○○○個、電磁的方法による原案賛成の株主○○名、その議決権数○○○個を含む)を得たので、本議案は原案どおり承認可決された。

 上記2つの具体例のように、定足数を満たした上、その出席株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって決議した旨記載すべきです。
 「大多数をもって可決」との表現は、「出席株主の議決権の3分の2以上」となっているか否かは不明であり、「出席株主の議決権の3分の2以上にあたる多数」という決議要件を満たしていないとされるおそれがあるので、注意が必要です。


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