決議事項に関する質疑応答

2014年5月21日 掲載

 ある決議事項について審議中、株主からその決議事項に関する質問が出る場合があります。そして、会社には株主に対する説明義務(会社法314条)があるので、説明しないことに正当な理由がある場合等を除いて、会社はその質問に対して回答をしなければなりません。このように、決議事項に関する質疑応答がなされた場合にも株主総会議事録に記載しておく必要があります。

 決議事項に関する質疑応答についての株主総会議事録への記載方法については特に法律上問題となることはなく、どのような記載方法が株主にとって分かりやすいかという実務上の問題だけです。株主に分かりやすく記載するという観点からは、対話形式の記載の方が分かりやすいのではないかと思います。

○具体例

取締役選任議案の中
会社法施行規則71条1号イによる事前質問提出者 株主A氏の質問
(A氏)
 会社法施行規則74条1項2号により就任の承諾を得ていないときはその旨とあるが、全員就任の内諾を得ていると考えてよろしいか。
(議長)
 結構です。

監査役選任議案の中
その後、A株主から監査役の決意表明の要請があり、α監査役、β監査役から、「株主の信頼に応えるべく監査役の任務を全うする」旨の決意表明後、次の質疑がなされた。
質問要旨(A氏)
 α監査役は何回取締役会に出席しているのか。
質問内容(α監査役)
 1回欠席しただけである。

退任取締役及び退任監査役に対する退職慰労金贈呈議案の中
 ・・・・・一任を願いたいところ、次の質疑が行われた
質問要旨(B氏)
 贈呈金額を明示されたい。明示しないなら法的根拠を示してもらいたい。
応答内容(甲議長)
 個人に関する問題でもあるので、回答についてはご了承願いたい。また、法律問題を議論する場ではないが、適法になされるので、ご了承願いたい。

剰余金の処分の議案の中
議案の審議中、株主A氏から積立金の取り崩しなどについて発言があったが、議長及び丙常務から説明した後、議長から本議案の内容の概略について説明し、議案の審議について議場に諮ったところ、異議なく、議決権行使書含め出席株主の議決権2分の1以上の大多数の賛成を得たので、原案どおり承認可決された。

定款一部変更の議案の中
 議案の審議中、株主B氏から事業目的の変更内容や役付取締役の会長制などについて発言があったが、議長及び丙常務から説明した後、議長から本議案の趣旨及び目的について説明し、議案の審議について議場に諮ったところ、異議なく、議決権行使書を含め出席株主の議決権3分の2以上の大多数の賛成を得たので、原案どおり承認可決された。

 議長や役員等に説明義務が生じない場合には、説明をする必要はありませんが、実務では、スムーズな議事運営を考えながら答弁をする必要があります。


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