取締役会議事録の必要性と意義

2014年7月2日 掲載

 「議事録から見る会社法」の連載として前回までは株主総会議事録に焦点を当て、その記載方法等の説明をしてきました。今回からは、取締役会議事録に焦点を当てた説明をしていこうと思います。

○取締役会とは?

 取締役会とは、その会社の取締役全員で組織される機関であり(会社法362条1項)、会社の業務執行の決定を行い、取締役の職務の執行を監督し、代表取締役の選定・解職を行う機関です(会社法362条2項)。
 取締役会は全ての株式会社に設置が義務付けられているわけではありません。株式会社が公開会社・監査役設置会社・委員会設置会社のいずれかに当たる場合には、取締役会の設置が義務付けられています(会社法327条1項)。

○取締役会議事録の作成義務

 「取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない」とされています(会社法369条3項会社法施行規則101条2項)。つまり、取締役会が開催された場合には、議事録の作成をしなければなりません。
 議事録の作成については、書面のみならず電磁的記録によって記録することもできます(会社法369条4項)。

○取締役会議事録の意義

 上述のとおり、取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成する必要があります(会社法369条3項)。
 これは、取締役会の議事の経過等の要領を書面又は電磁的記録によって明らかにするとともに、一定期間取締役会議事録等を保存し、取締役、監査役、株主又は債権者等に閲覧・謄写させることにより、取締役相互又は監査役若しくは株主による取締役の業務の監督の実効性を高めることや、会社債権者による役員等の責任を追及することを可能とするために、取締役会議事録を作成する意義があります。
 これに加え、代表取締役選定の登記などの取締役会設置会社の登記の際に、取締役会議事録等が添付書類として要求されているものがあり、取締役会議事録等を作成することは登記手続上でも重要な意義を有します。


上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。