取締役会議事録の記載事項(1)

2014年8月8日 掲載

 今回からは具体的に取締役会議事録に記載すべき内容についての説明に入りたいと思います。

○議事録記載事項は会社法上規定されているか?

 今回は取締役会議事録の記載事項として法令上定められている事項についての概略を説明したいと思います。
 会社法上、取締役会議事録については、「取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。」(会社法369条3項)と規定するのみで、具体的な規定はありません。

○記載事項は法令に記載されているか?

 会社法に記載事項の規定はありませんが、会社法施行規則101条1項に「この条の定めるところによる」との規定があります。そして、具体的な要件については会社法施行規則101条3項に規定があります。

  1. 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)(会社法施行規則101条3項1号)
  2. 取締役会が特別取締役による取締役会(会社法373条2項)であるときは、その旨(会社法施行規則101条3項2号)
  3. 取締役会が、招集権者以外の取締役の招集の請求を受けて招集された場合等の場合はその旨(会社法施行規則101条3項3号イ~リ)
  4. 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
  5. 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
  6. 次に掲げる、取締役会において述べられた意見または発言があるときは、その意見または発言の内容の概要(会社法施行規則101条3項6号イ~ヘ)
    1. 競業取引(会社法356条1項1号)、取締役と会社との直接取引(会社法356条1項2号)又は取締役と会社との間接取引もしくはその他の利害相反取引(会社法356条1項3号)をした取締役による、当該取引についての重要な事実の取締役会に対する報告(会社法356条2項)。委員会設置会社における執行役の場合も同様である(会社法419条2項、会社法356条2項)。
    2. 監査役設置会社及び委員会設置会社以外の取締役会設置会社において、株主が会社法367条2項の規定により取締役会の招集の請求をした場合において、取締役会に出席した株主が述べた意見(会社法367条4項)
    3. 計算書類等を承認する取締役会において、会計参与が述べた意見(会社法376条1項)
    4. 監査役が、取締役が不正の行為をし、もしくは当該行為をするおそれがあると認めたとき、または法令もしくは定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めたときの取締役会への報告(会社法382条)
    5. 取締役会において監査役が述べた意見(会社法383条1項)
    6. 監査委員が、取締役が不正の行為をし、もしくは当該行為をするおそれがあると認めたとき、または法令もしくは定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めたときの取締役会への報告(会社法406条)
  7. 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称
  8. 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名

 このように会社法施行規則では記載事項について詳細に規定されています。今回は、通常の取締役会議事録の記載事項について説明しました。次回は、取締役会の決議の省略や報告の省略があった場合の記載事項についての説明をしたいと思います。


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