決議事項 ~定時株主総会の招集2~

2014年10月15日 掲載

 前回は定時株主総会の招集についての記載例を中心に説明をし、イメージを掴んでもらいました。今回は、少し詳細に定時株主総会の招集についての説明をしたいと思います。

○取締役会での決定事項

 株主総会の招集は、取締役会設置会社では原則として取締役会が招集します(会社法296条3項298条4項)。招集にあたって取締役会が決定すべき事項は、株主総会の日時・場所、会議の議題(株主総会の目的となる事項)、書面等による議決権行使を認める場合にはその旨、その他法務省令で定める事項です(会社法298条1項会社法施行規則73条1項1号)。
 また、取締役会設置会社においては、会議の議題とされた事項以外の事項を決議することができない(会社法309条5項)ため、何を議題として決定するかは重要な意味を持ちます。
 したがって、取締役会において株主総会の招集にあたって決定事項があったのであれば、その旨について取締役会議事録に記載しておく必要があります。
 株主の数が1,000人以上の場合には、上場会社において招集者が株主の全部に対して委任状の勧誘を行う場合を除き、書面による議決権行使を行使することができる旨を定めなければなりません(会社法298条2項、3項325条会社法施行規則64条95条2号)。
 会議の日時・場所、総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使することのできることを決定した場合の事項、代理による議決権行使に関する事項、議決権の不統一行使の際の通知方法に関する事項、議案の概要を定めることを要する事項等は、会社法施行規則63条に細かく定められています。
 これら事項の中で、通常定めるものは、株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使できることとするときはその旨(会社法298条1項3号、4号)、議案について、賛否・棄権の表示がない場合、賛成の意思表示があったものと取り扱う旨(会社法施行規則63条3号ニ)、株主総会参考書類に記載すべき事項(会社法施行規則63条5号)等です。
 株主総会参考書類については、一部事項を除き、定款によりウェブ開示措置が可能です(会社法施行規則94条)が、ウェブ開示措置を採らない事項の区分があれば、それも決議しなければなりません(会社法施行規則63条3号ホ)。

○会計監査人設置会社での事項

 会計監査人設置会社においては、計算書類が法令・定款に従い会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、株主総会の承認を求める必要はなく、取締役会の承認で確定し、この場合においてはその内容を定時株主総会に報告しなければなりません(会社法439条)
 したがって、計算書類について取締役会で承認した場合には、取締役会議事録に記載することとなります。


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