決議事項 ~中間配当の実施~

2014年11月12日 掲載

○剰余金の配当とは?

 配当とは、利益その他剰余金を株主に分配することをいいます。
 剰余金の配当をしようとする場合は、定款又は株主総会の普通決議によって、配当財産の種類と帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当てに関する事項、及び、剰余金の配当の効力を生じる日を定めなければなりません(会社法454条1項)。
 剰余金の配当を取締役会決議によってできる旨の定款規定を置いた場合には、以下で説明するような中間配当ができる旨の定款規定を置くことなく、取締役会決議によって中間配当をすることができます(会社法459条参照)。

○中間配当とは?

 中間配当とは、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって行うことのできる剰余金の配当のことをいいます。中間配当については、配当財産が金銭であるものに限ります。取締役会設置会社は、取締役会の決議によって中間配当をすることができる旨を定款で定めることにより中間配当をすることができます(会社法454条5項)。

[中間配当の定款規定の例]

(中間配当)
第×条 当会社は、取締役会の決議により、毎年×月×日の最終株主名簿に記載又は記録された株主又は登録質権者に対し、中間配当を行うことができる。

 上記の定款規定に基づいて、取締役会で中間配当をする旨を決議した場合には、取締役会議事録に記載することが必要となります。

●中間配当をする旨の決議をした場合の議事録記載例

第×号議案 第◯期中間配当実施の件

 A 取締役経理部長から、第◯期中間配当は、会社法461条に定める分配可能額の限度内で実施可能であるので、次のとおり実施し、配当により減少する剰余金の額の10分の1を利益準備金として積み立てたい旨の説明があった。
次いで、議長が本議案を議場に諮ったところ、全員異議なくこれを決議した。

(1)中間配当金  1株につき金○○円
(2)支払総額   ○○○億円
(3)中間配当の効力の生ずる日  平成×年×月×日

 中間配当をする場合には、取締役会決議によって配当財産の種類と帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当てに関する事項、及び、中間配当の効力を生じる日を定めなければなりません(会社法454条5項、同1項)。したがって、その旨を記載します。

○配当可能額を超えて配当した場合

 剰余金の配当は、分配可能額の範囲内で行われなければなりません(会社法461条1項8号)。分配可能額を超えた配当がなされた場合には、会社は株主に対してその返還を請求でき(会社法462条1項)、会社債権者は、直接株主に対して違法分配額を返還するよう請求することができます(会社法463条2項)。
 しかし、1人会社のような場合を除き、株主が多数で構成される場合が多く、このような場合には株主に返還を求めることは困難です。そこで、業務執行取締役等の業務執行者や取締役会に剰余金分配議案を提案した取締役に対して、株主が受領した額を支払う義務を負わせています(会社法462条1項)。
 ただし、その職務を行うことについて注意を怠らなかったことを証明した場合にはその責任を免れることができます(会社法462条2項)。


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