決議事項 ~重要な財産の処分及び譲受け3~

2015年2月10日 掲載

 前回は、「重要な財産の処分及び譲受け」のうち、「重要」と「財産」についての意味の説明をしました。今回は残りの「処分」「譲受け」の意味の説明をしたいと思います。

○重要な財産の処分の「処分」とは?

 「処分」とは、多義的な言葉です。一般的には「処理すること」や「捨てる、売り払う」という意味とされることが多いです。法律用語としての「処分」もいくつかの意味が考えられます。公法的には、行政処分や強制処分等のように行政権又は司法権を作用させる行為とされます。他方、私法的には財産権の移転その他財産権の内容を変えることをいいます。
 会社法も私法領域であることから、「処分」とは、財産権の移転その他財産権の内容を変えることを指します。これは管理処分(民法27条3項)に対応する意味として考えられています。

●財産権の移転とは?

 財産権の移転とは、不動産、船舶、航空機等の所有権の移転が代表例です。

●財産権の内容を変えることとは?

 まず、用益権及び担保権の設定・変更が挙げられます。土地の所有権に賃借権の設定をしたり、抵当権の設定によって所有権の制限を受ける場合が代表例といえます。
 次に、投資有価証券については株価の下落、融資については返済不能が考えられ、確かな財産が危険かつ不確実な財産に変わる可能性があるので、投資有価証券や融資についても、「財産権の内容を変えること」に含まれます。
 また、破産等による債務免除は、財産・債務がなくなるので「財産権の内容を変えること」にあたります。

○重要な財産の処分及び譲受けの「譲受け」とは?

 「譲受け」とは、有償・無償による所有権の取得を指します。
 ただし、実際には多数の取引において、有形・無形の固定資産について所有権取得のつど、取締役会決議を経るのは不可能に近いです。そこで、固定資産と土地について年度予算を立て、それを取締役会の決議をかける方法もあります。
 決議時に一定金額以上のものは具体的に列挙する等の基準を立てておく方法や、決議時には包括的に決議し、一定金額基準以上のものは実際に取得する際に取締役会決議を経る方法も考えられます。


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