議事の結果(評決)1

2015年4月30日 掲載

 取締役会が開催された場合、「取締役会の議事の経過の要領及びその結果」について取締役会議事録に記載しなければなりません(会社法施行規則101条3項4号)。「取締役会の議事の要領」については、既に説明してきました。そこで、今回は「取締役会の議事の結果」についての説明をしたいと思います。

○「取締役会の議事の結果」とは?

 「取締役会の議事の結果」とは、決議事項についての決議の結果のことです。例えば、代表取締役の選定議案について取締役会の構成員の全員一致で可決したような場合です。決議事項を決議した場合には、取締役会議事録に記載することとなります。
 取締役会決議については、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その出席取締役の過半数をもって決議を行うとされています(会社法368条1項)。そして、取締役会議事録は株主代表訴訟等の訴訟がなされた場合に的確な経営判断がなされたかをみる重要な証拠となるので、できる限り詳しく記載する必要があります。また、会社法上も、取締役会議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される(会社法369条5項)ことから、詳しく書くことが求められます。

○全員一致の場合の記載例

・・・につき説明を行い、本議案の採決を諮ったところ、出席取締役全員異議なくこれを承認し、原案どおり可決(承認可決)した。

・・・につき、慎重に審議した結果、全員異議なく賛成し、承認可決した。

・・・の件について全員に諮りたるところ、全員異議なく賛成したので、議長の提案どおり可決した。

・・・の件についての承諾を得たので、本議案は可決確定した。

 記載の方法については、法令上特に定まった記載方法はありません。また、全員一致で決議事項についての可決をした場合には、特に争いもないので、「全員異議なく」等の文言を入れた上で、可決・承認した旨を記載すれば足ります。ただし、「可決」「承認」「決定」等の言葉の使用方法については争いがあります。それについては次回に説明したいと思います。

○全員一致ではなく、過半数により決した場合の記載例

 議長は、十分審議が尽くされたとして、本議案の採決を諮ったところ、決議に参加できる取締役の過半数の賛成多数で、本議案を可決(承認、可決承認)した。
 なお、以下取締役が異議をとどめた。
 取締役  A
 取締役  B

 ある決議事項について、反対の取締役が出た場合には、単に「取締役の過半数の賛成で」とのみの記載ではなく、反対した(異議をとどめた)取締役の名前を具体的に記載します。これは、先程も述べたように、会社法上、取締役会議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されてしまうからです(会社法369条5項)。


上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。