有給休暇の計画的付与

2011年12月27日 掲載

 有給休暇の計画的付与とは、過半数労働組合等と労使協定で年次有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、年次有給休暇のうち5日を超える部分については、労使協定にて定めた時季に付与することができるという制度です(労働基準法39条5項)。有給休暇の取得が進まない我が国において、有給休暇取得を促進するために設けられました。

 あくまで有給休暇ですので、会社が定める休日(法定休日・所定休日)を有給休暇にすることはできません。例えば、年末年始休業として12月29日から1月4日を休日としている会社において、12月28日と1月5日を有給休暇の計画的付与として有給休暇とすることはできますが、12月29日を有給休暇にすることはできないのです。
 また、計画的付与の場合には、労働者の時季指定権、使用者の時季変更権はともに行使できないとされています。

 導入にあたっては、1.計画的付与の対象者、2.対象とする年次有給休暇、3.計画付与の具体的な日数と方法、4.対象になる年次有給休暇を保有しない者への取扱い、などについて労使で協議したうえで、書面による協定を結ぶ必要があります。
 なお、事業所全体を休業とする場合、年休権がない労働者や年休日数の少ない労働者については、計画的付与の対象とすることはできないので、使用者は、特別の休暇を与える、年休の日数を増やす等の措置を講じるべきでしょう。
 このような措置をとらずに当該労働者を休業させる場合には、労働契約や就業規則等に基づき、休業時の賃金等を支払う必要があります。そのような定めがない場合であっても、労働基準法26条の規定による休業手当の支払(平均賃金の60%以上)が原則として必要です。


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