取締役会議事録の閲覧又は謄写の請求

2014年7月23日 掲載

 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、取締役会議事録等の閲覧又は謄写の請求をすることができます(会社法371条2項本文)。
 取締役会議事録等が書面によって作成されている場合には、当該書面自体の閲覧又は謄写の請求をすることとなります(会社法371条2項1号)。
 一方、取締役会議事録等が電磁的記録をもって作成されている場合には、電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることとなります(会社法371条2項2号会社法施行規則226条13号)。つまり、電磁的記録による場合には、その画面を閲覧することができるよう請求するか、プリントアウトした書面を閲覧・謄写することができるよう請求することとなります。

 ただし、取締役会議事録には株主総会議事録とは異なり、企業の重要な情報や戦略等を記載していることが多いことから、株主全員に対して無条件で閲覧又は謄写を認めるわけにはいきません。そこで、会社法上、閲覧・謄写をしにくいように裁判所の許可が必要としています。

  1. 原則、株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、取締役会議事録等の閲覧・謄写請求をすることができます(会社法371条1項本文)。ただし、監査役・監査役設置会社においては、「株式会社の営業時間内は、いつでも」ではなく、「裁判所の許可を得て」取締役会議事録等の閲覧・謄写請求をすることとなります(会社法371条3項)。
  2. 取締役会議事録等の閲覧・謄写請求は、株主だけでなく当該会社の債権者も行うことができる場合があります。ただし、会社の債権者が請求する場合には、「役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て」請求を行うこととなります(会社法371条4項)。
  3. 当該会社の親会社の株主も当該会社の取締役会議事録等の閲覧・謄写請求をすることができる場合があります。ただし、「その権利を行使するため必要があるとき」であって、「裁判所の許可を得て」行うこととなります(会社法371条5項、4項)。

 裁判所の許可について、裁判所は、取締役会議事録等の閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社・子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可をすることができないと定めています(会社法371条6項)。なお、全国株懇連合会の調査によると実務的に裁判所が閲覧・謄写について許可をすることは年間に数件程度と認められる場合は少ないといえます。


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