年俸制

2011年12月27日 掲載

 年俸制とは、1年間の給与支給総額を決める給与の支払い方式のことです。日本においては、賃金毎月払いの原則(労働基準法24条2項)があり、年俸制といっても、年1回払いは許されません。そのため、総額を12分割した金額を毎月払う方法や、14または16分割して、そのうちの1または2をボーナスとして夏と冬に支払うような方法が取られています。

 年俸制を採用する場合であっても、労働基準法で定める労働時間、時間外労働、深夜労働、休日出勤などの各規制の適用を当然受けます。したがって、原則として1日8時間を超えて労働させたときには、当然割増賃金を支払う必要があるのです。

 こうした点に対応するため、「一定時間(例:20時間)の時間外手当を含む」と規定する例が多いようですが、これだけでは不十分です。年俸のうち、基本給部分と残業手当相当部分が区別されていること、残業手当相当額が法定の残業手当以上に支払われていることも必要です。
 例えば、年俸480万円を12分割して支給する場合、「基本給部分を360万円、残業手当相当部分を120万円」としたうえで、月額基本給の30万円から算定された時間外手当等の合計額が、月額残業手当相当部分10万円を超えないようにしなければなりません。超えた場合には、超過部分について支払いの義務が生じます。

 なお、年俸総額を16分割し、賞与のように支給する場合においては注意が必要です。例えば、「基本給部分を360万円、残業手当相当部分を120万円」で、これを16分割する場合、時間外手当の算出に用いる基礎賃金の計算においては、360万円÷16=22.5万円ではなく、360万円÷12=30万円となります。
 「賞与とは予め支給額が確定されていないものをいい、支給額が確定しているものは賞与とみなされない」(平成12年3月8日基収第78号)とされており、支給額が確定している年俸制の場合には、賞与とはいえないからです。


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