整理解雇

2011年12月27日 掲載

 経営上の理由から、余剰人員を削減するために行う解雇が「整理解雇」です。
 解雇については、労働契約法16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」との一般規定がありますが、整理解雇については、判例の積み重ねによって、以下の四要素を考慮して、解雇の有効性が判断されています。

  1. 人員削減の必要性
  2. 整理解雇努力義務
  3. 人選の合理性
  4. 手続の妥当性

(1)人員削減の必要性とは、企業経営上、人員削減措置が本当に必要な状態を指します。
 その理由としては、倒産回避のような差し迫ったものから、経営悪化による部門閉鎖のように合理性が高いもの、将来の経営悪化を見越した予防的なもの等が考えられます。
 裁判所は企業の経営判断を尊重して立ち入った判断を控える傾向にありますが、一般には、少なくとも経営上人員削減の必要性が高いといえる状況が望ましいとされています。

(2)整理解雇努力義務は、使用者が整理解雇を避けるために経費節減、新卒採用の中止、希望退職の募集、一時帰休といった努力を尽くし、それでも整理解雇を選択しなければいけないという場合に認められます。

(3)人選の合理性は、被解雇者の選定基準や適用方法の公正さを求める条件です。
 たとえば、組合の活動家から先に解雇するといった基準は許されません。

(4)手続の妥当性は、整理解雇を実施する際、労働組合や労働者に整理解雇の必要性、その時期、規模、方法、人選等について説明し、さらに誠意をもって協議すること、つまり事業者に信義則(相手方の信頼に背かないよう、誠実に行動すべきという原則)上の義務を果たすよう求めるものです。
 加えて、労働協約に協議条項(人事などにつき、労使間の協議を義務付ける条項)や同意約款(同問題で労使間の同意を義務付ける条項)がある場合、協議等を尽くさず解雇を行えば、協約違反となり解雇は無効です。


 実務上は、上記に加え、就業規則に整理解雇に関する条項を入れておく必要があります(労働基準法89条3号)。


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