時間外労働

2011年12月27日 掲載

 通常の勤務時間を超えて仕事をする「残業」は、法定内残業時間外労働に分けられます。
 法定内残業とは、通常の勤務時間(所定労働時間)を超えるものの、勤務時間が1日8時間または1週40時間(法定労働時間)を超えない場合をいい、時間外労働とは1日8時間または1週40時間を超える場合をいいます。

 法定内残業については、就業規則に「会社は業務の都合により社員に時間外労働を命ずることがある」などの趣旨の規定を置くことで労働者は労働義務を負うことになると考えられています。本人の同意を得ることは要件として必要ではありません。
 そして、この場合には、使用者は労働基準法上の割増賃金(37条1項)を支払う必要はありませんが、就業規則等で法定内残業についても割増賃金を支払う旨の規定がある場合には、これに従うことになります。

 これに対し、時間外労働の場合は、上記の法定内残業の要件のほかに「36協定」が必要です。この「36協定」は、時間外・休日労働をさせるための過半数組合(又は過半数代表)との協定です。
 この「36協定」がある場合には、使用者は時間外労働するように労働者に求めることができますが、この場合には1日8時間または1週40時間を超える部分について、25%以上の割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条1項、割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。
 なお、この「1日8時間または1週40時間」に休憩時間は含まれません。

 通常の時間外労働の割増賃金率は25%以上ですが、平成22年4月1日から1カ月に60時間を超える時間外労働については、割増賃金率が50%になりました(中小企業を除く。労働基準法37条1項)。この時間外労働の算定には、法定休日労働の時間は含みませんが、所定休日(土曜日や祝日など)に働いた時間は含まれます。また、深夜に時間外労働をさせた場合、深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上=75%以上の割増賃金が必要となります。


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