雇用調整助成金
2011年12月27日 掲載
雇用調整助成金は、「経済上の理由」からやむなく事業活動を縮小する事業主が、従業員の雇用を維持するため、従業員を一時的に休業させたり、教育訓練や出向に行かせたりした場合に、それらにかかる手当や賃金等の一部を国が支給する制度です。
「経済上の理由」とは、景気の変動や産業構造の変化などによって、事業に影響を及ぼすような経済活動に何らかの変化があった、くらいの意味です。
震災との関係では
- 交通手段がなく、出勤、物品の搬入・搬出等ができない
- 壊れた事業所等の修復が進まない
- 風評被害で商品が売れない・客が来ない
- 計画停電が実施された
などでもよいとされています。
これに対し、たとえば地震による避難勧告のような法令上の制限によって事業縮小した場合は、地震が直接的な理由となり「経済上の理由」とはいえないので対象外になります。ご注意ください。
平時であれば、主な支給要件は「最近3ヶ月間の生産量等が、その直前の3ヶ月または前年同期と比べ5%以上(中小企業は直近の決算等が赤字なら5%未満でも可)減少している、雇用保険の適用事業所の事業主」などとされているのですが、この度の震災を受け要件が緩和されました。
- 青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県のうち災害救助法(被災者の生活を応急的に救済するための規定)適用地域にある
- (1)の事業所と一定規模以上(総事業量等のうち3分の1以上)の経済的関係がある
- 計画停電の実施地域内にあり、計画停電で事業活動が縮小した
のいずれかに該当する事業所に関しては、平時条件中の「3ヶ月」部分が両方1ヶ月に短縮されます。
次に、雇用調整助成金の受給額は、条件によって違いがあります。
平成20年12月からの当面の措置として、雇用調整助成金制度を中小企業向けに見直した「中小企業緊急雇用安定助成金制度」ができたことから、中小企業への助成が手厚くなりました。
以下の説明では、中小企業向けの助成の割合・金額を《》内に示します。
助成対象となる雇用調整には、休業、教育訓練、出向という3つの方法が考えられますが、助成の割合は、どれも企業が負担する手当・賃金の2/3《4/5》です。
従業員の解雇等を行わない事業主や、障害のある人の休業等に対しては助成率が上乗せされ、2/3→3/4《4/5→9/10》となります(支給額には上限があります)。
職業訓練に対しては、上記の金額に加えて以下の額が支給されます。
- 事業所内訓練の場合→1人1日2,000円《3,000円》
- 事業所外訓練の場合→1人1日4,000円《6,000円》
支給は、大型倒産等の場合でもない限り、休業と教育訓練で3年間のうち300日を限度に行われるのが原則です。
こうした雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)は、1年で期間が切れてしまうため、1年ごとに受給要件を確認する必要があります。
なお、平成23年7月1日以降の申請分については、雇用保険の加入期間が6カ月未満の労働者には支給されなくなりましたので、ご注意ください(上記の震災による特例が受けられる事業者については、加入期間が6カ月未満の労働者にも支給されます)。
雇用維持でお困りの事業者の方は、最寄りのハローワークに相談してみて下さい。
上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。