競業避止義務

2011年12月27日 掲載

 競業避止義務とは、労働者が在職中や退職後に、企業と同種の事業を行ったり、競業他社への就職をしてはならないという義務です。

 競業避止義務が有効か否かは、職業選択の自由(憲法22条1項)との関係で問題となります。裁判例では、「従業員の地位・業務の性質」「ノウハウ等の要保護性」「勤続年数」「競業避止義務が課される期間・場所・業種・職種」「代償措置の有無(退職金の増額等)」を総合的に判断し、有効か否かを判断しています。
 競業避止義務が有効と判断される場合、労働者がこれに違反すると、会社は、損害賠償請求や退職金の不支給、減額措置などの対抗措置をとることができます。

 例えば、重要秘密技術に関与していた社員が、雇傭契約終了後満2年間会社と競業関係にある一切の企業に直接にも、間接にも関係しないことを内容とする競業避止に関する契約を結んでいたにもかかわらず、退職後まもなく協業関係のある企業を設立し、取締役に就任したという事案について、裁判所は、競業避止義務について有効と判断しています。
 競業禁止期間が2年と比較的短いことや業種が限定されていることから制限の範囲が比較的狭く、当該社員が重要秘密技術に関与していたこと、在職中、機密保持手当が支給されていたことなどが考慮されての判断となっています(「フォセコ・ジャパン・リミテッド事件」。昭和45年10月23日奈良地裁判決)。


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