セクハラとは

2011年12月27日 掲載

 セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、法律上、「職場における性的な言動に起因する問題」といった形で取り上げられています(男女雇用機会均等法11条)。

 ここにいう「職場」とは、「事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、『職場』に含まれる」とされています。
 したがって、事業所内だけに限られず、(1)取引先の事務所、(2)取引先と打ち合わせをするための飲食店(接待の席を含む)、(3)顧客の自宅、(4)出張先、(5)業務で使う車の中、なども「職場」にあたります。勤務時間外の宴会等についても、職務との関連性、参加者、参加が強制的か否かから判断し、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当します。

 また、「性的な言動」とは、「性的な内容の発言及び性的な行動」を指します。行為者は、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒なども含まれ、男女を問いません。また、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合についても含まれます。

 そして、職場におけるセクシュアルハラスメントには、

労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給など(労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換など)の不利益を受けるもの(対価型セクシュアルハラスメント

と、

労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるもの(環境型セクシュアルハラスメント

があるとされています。

 男女雇用機会均等法11条1項は、事業主にセクハラ防止のための必要な措置を講じなければならないと定め、その具体的内容として、(1)事業主の方針の明確化およびその周知・啓発、(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、(3)職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(事実関係の迅速かつ正確な確認、行為者および被害者に対する適正な措置、再発防止に向けた措置)、(4)(1)~(3)の措置にあわせて講じるべき措置(相談者・行為者等のプライバシーの保護、相談や事実確認への協力を理由とする不利益取り扱いの禁止の周知・啓発)の4つを定めています(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)。
 企業が上記の措置を講じない場合は、厚生労働大臣による行政指導が行われ(29条)、事業主が是正勧告にも応じない場合には、企業名の公表の対象となります(30条)。

 セクハラの被害者が加害者に対して、人格権侵害に基づく不法行為責任(民法709条)を追及できるのはもちろんですが、セクハラ行為と会社の業務との間に関連性が認められる場合には、会社も加害者とともに不法行為責任を負います(民法715条:使用者責任)。さらに、こうした関連性が認められない場合であっても、使用者には労働者が働きやすい職場環境を保つ労働契約上の付随義務があるとして、使用者に債務不履行責任(民法415条)を認めた裁判例もあります。


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