株主代表訴訟

2011年12月27日 掲載

 株主代表訴訟とは、株式会社において株主が会社を代表して取締役・監査役などの役員に対して法的責任を追及するために提起する訴訟のことです(会社法847条)。
 取締役や監査役などの役員が任務を怠った場合、会社に対して損害を賠償する責任を負うため(会社法423条)、本来は、会社が役員に対して訴訟を提起すべきなのですが、会社の意思決定は役員によってなされるため、役員同士の馴れ合いによって、会社が責任追及を怠るおそれがあります。それを防止するために、株主に会社を代表して訴えを提起し、責任追及できる権限を与えたのです。
 上にも書いたように、株主は会社を代表して訴えを提起するにすぎないため、株主代表訴訟で株主側が勝訴した場合、損害賠償等を受け取るのは会社です。訴えを提起した株主に直接利益がもたらされるわけではありませんので、注意が必要です。

 株主代表訴訟を提起できるのは、6カ月前から引き続き株式を有する株主です(公開会社でない会社の場合は、株主の資格があれば保有期間を問いません)。まず、会社に対して責任追及の訴えを提起するように請求し、会社がこれに応じないときに訴えを提起することができます。

 訴訟にかかる費用は、一律1万3,000円です(会社法847条6項、民事訴訟費用等に関する法律4条2項)。また、訴訟に勝訴した場合、弁護士報酬や裁判所までの交通費などのうち、相当額については、会社に対して請求できるとされています(会社法852条1項)。このように、株主側の負担を軽減して、役員の責任追及をしやすくしています。
 一方、総会屋等による制度の悪用を防ぐため、上記のように訴えを提起できる株主を制限するとともに、株主代表訴訟の提起が悪意によるものと疑われる場合には、裁判所が株主に相当の担保を立てることを命じられるようにしています(会社法847条7項)。


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