取引先の他社に対する売掛金から債権を回収する

2011年12月27日 掲載

 取引先の資金繰りが厳しい場合、取引先の他社に対する売掛金から債権を回収することができないか検討してみます。
 この場合、売掛金債権が譲渡可能か否かによって、対応が異なります。

1.売掛金債権が譲渡可能な場合

 この場合、取引先との間で債権譲渡契約を締結します。
 もっとも、債権譲渡は譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者にその効力を主張できないとされています(同法第467条1項)。資金繰りが厳しい会社の場合、他の債権者にも同じ債権を譲渡してしまう危険性があるため、債権譲渡契約書の締結後、ただちに債権譲渡通知書を取引先から債務者に送らせることが重要です。


2.売掛金債権が譲渡できない場合

 売掛金債権のもととなった契約に債権譲渡禁止特約が付けられているときは、債権を譲り受けることができないので、代理受領や振込指定を利用して債権回収の目的を達成します。

 代理受領とは、債権者が債務者に代わって第三者から支払を受け、受領した金銭を債権者の債務者に対する債権の弁済に充てることです。この場合、代理受領を委任する契約書を取引先と締結するとともに、第三者に示す委任状を作成します。

 振込指定とは、債務者に対する支払いを、債権者の指定する口座に直接振り込んでもらうことで、受領した金銭を債権者の債務者に対する債権の弁済に充てる方法です。この場合、取引先から第三者に対して、売掛金の振込先を債権者の口座にするように指定する通知を出させる必要があります。この方法は、第三者が振込先の変更に同意する必要があります。


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