暴力団排除条例と暴力団排除条項
2012年3月30日 掲載
「暴力団排除条例」は、暴力団を社会から排除することで地域住民の安全や平穏を守り、健全な事業活動を推進するものです。
2011年10月1日の東京都・沖縄県の施行をもって、47都道府県すべてで施行が完了しました。
条例は、事業者に対し、契約の相手方等が暴力団関係者でないことの確認を求めるとともに、暴力団関係者であることが判明したときには契約を解除できる旨の条項を契約書に入れること等を求めています。また、事業者が暴力団関係者等に利益供与をすることを禁止しています。
違反者に対しては、是正勧告、違反行為等の公表、違反行為等の中止命令などの処分がなされますが、これらの処分そのものよりも、レピュテーション・リスク(外部評価の毀損リスク)のほうが大きいといえます。
企業としては、暴力団関係者だけでなく、反社会的勢力全般を排除することが求められます。反社会的勢力とは、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等などのことをいいます(それぞれの定義については、組織犯罪対策要綱の記載が参考になります。
そして、取引相手となろうとする者が反社会的勢力でないことのチェック(反社チェック)を徹底するとともに、暴力団排除条項(暴排条項)の整備を行う必要があります。
反社チェックについては、本人に対する確認、信用調査会社による調査、新聞記事検索を中心に、判断に迷ったときは、警察や各地の暴力追放運動推進センター(暴追センター)への相談も検討します。本人に対して確認する場合には、後に反社会的勢力であったことが判明した場合には、無条件で契約を解除できる旨の確約書(誓約書)を提出させるのもひとつの方法です。
暴排条項については、全国銀行協会(全銀協)が作成した「銀行取引約定書に盛り込む暴力団排除条項の参考例」が参考になります。上記の参考例は、社会情勢の変化等に応じて改正がなされていますので、最新のものを確認するようにしてください。
暴排条項に基づく契約解除は、裁判例でも認められています。ただ、場合によっては、他の条項(用法違反、料金支払いの遅延等)による解除や契約期間満了、更新拒絶による契約の終了など、他の手段との組み合わせも検討すべきでしょう。
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