ステルスマーケティング

2012年10月5日 掲載

ステルスマーケティング(ステマ)とは、口コミサイトやブログにおいて、企業がその投稿者に報酬を支払って、広告とわからない形で、自社に有利な投稿をしてもらうことをいいます。
 似た形式のものとして、企業自身の広告に掲載される「利用者(モニター)の声」があります。この場合、見る側としても広告の一部として割り引いて見ることができますが、広告であると明示されていないステルスマーケティングの場合、口コミサイトやブログを読んだ人は、「多くの人が良いと言っているのだから」「有名な○○さんが良いと言っているのだから」と実像以上に良いと思ってしまいがちです。そこに問題があるのです。

 この点について、消費者庁は、「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該『口コミ』情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」(インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項)としています。
 つまり、(1)事業主が口コミ情報を書いた(あるいは書かせた)だけでは足りず、さらに、(2)その掲載内容が優良誤認・有利誤認表示であるときに初めて、景表法上の問題となるという構造になっています。
 したがって、単に「○○(商品名)は私のお気に入りです」といった感想の書き込みでは景表法上の問題とはなりません。一方、a.十分な根拠もなく、「しみ、そばかすを予防します」などと書かせたり、b.大量の書き込みをさせて口コミサイト上での評価を変動させる、といった行為については、問題となる可能性があります。

 なお、米国では、2009年10月に連邦取引委員会(FTC)が推奨広告・証言広告に関するガイドラインを改訂し、商品やサービスの推奨者とマーケッター・広告者との間に報酬の授受や商品の無償提供等の重大なつながり(material connection)があるにもかかわらず、そのような事実について明記しなかったときは、処罰される可能性があります。


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