閲覧・謄写請求 1 ~閲覧・謄写請求の方法~

2013年10月15日 掲載

 全国株懇連合会が平成19年に行った調査によれば、書類の閲覧・謄写等の請求を受けた会社は全体の15.9%であり、このうち最も多かったのが株主総会議事録に対する閲覧・謄写請求でした。
  今回は、総会議事録の閲覧・謄写がどのようになされるのかについて説明します。

○閲覧・謄写請求とは

 まず、総会議事録の閲覧・謄写とは、「株主と債権者が、営業時間内であればいつでも総会議事録の閲覧・謄写を請求できる」という制度です。
 その対象となる議事録は、具体的にいうと

  • 書面の議事録 → 当該書面またはその写し
  • 電磁的記録の議事録 → 記録された事項を紙面または映像面に表示したもの

ということになります(会社法318条4項会社法施行規則226条11号)。
 株主と債権者が会社の機関の行動を監視し、自らの権利を保護するのです。

 ちなみに、閲覧・謄写請求を拒否できる条件は特に定められていないものの、請求者側に正当な目的がない場合は拒否できます。
 ただし、このとき会社側は、その請求が請求権の濫用等であることを立証せねばなりません。
 正当の事由がないのに閲覧・謄写を拒めば、当該会社の代表取締役は100万円以下の過料に処せられます(会社法976条4号)。

○裁判所の許可が必要な閲覧・謄写請求

 また、親会社社員(「親会社の株主その他の社員」のことで、「従業員」のことではありません。同31条3項)は、その権利行使に必要であれば、裁判所の許可を得たうえで子会社の株主総会議事録につき、閲覧・謄写請求をすることができます(同318条5項)。
 こちらの場合は、請求の時点から裁判所が介入するので、会社側は裁判の中で閲覧・謄写の適否を争うことになります。

 この権利行使に必要か否かを判断する裁判所(つまり、親会社社員が申立てるべき裁判所)は、当該会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所であり(同868条2項)、申立ておよび陳述は原則口頭で行われます(非訟事件手続法8条)。
 裁判所は、当該会社の陳述も聴き(会社法870条1号)、親会社社員が申立ての原因となる事実を疎明(裁判所に「多分そうらしい」と思わせること)できていると判断したら(同869条)、理由を付したうえで許可の決定を下します(同871条)。
 この判断に不服があれば即時抗告できますし(同872条4号)、即時抗告がなされれば執行も停止されます(同873条)。

 次回は、閲覧・謄写請求書のフォーマット等を紹介します。


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