備置き 1 ~備置きの期間・場所と「写し」の意味~
2013年11月5日 掲載
毎年作成される株主総会議事録。
新しいものができれば前年の分は好きに処分していいかというと、決してそういうわけではありません。
総会議事録は、以下のような要件を守って備え置かねばならないとされています。
○期間
備置きの期間は、本店は株主総会の日から10年間、支店は議事録の写しを5年間とされています(会社法318条2項・3項)。
「株主総会の日から」といっても、総会日に議事録を完成させるのは至難の業ですから、絶対にこの時点から備置きせよということではなく、備置き開始の期間を明確にしたもの程度に考えておけばよいでしょう。
○場所(「支店」とは?)
支店とはどの範囲を指しているのでしょうか?
会社には、本店以外の拠点として「支店」の名称が与えられているもののほかにも、営業所、事業所、出張所、海外支店などがあります。
名称だけでは区別しにくいので、以下の要件を参考に判断してください。
※支店の定義については実質を重視する考え方と会社法を重視する考え方がありますが、ここでは後者の考え方に則って説明します。
- 規模の違いはあれど、本店とほぼ同じ種類の業務を行っている
会社の主たる営業所である本店に対し、支店は従たる営業所です。
本店以外の場所で独自の営業活動をし、対外的にも支店として取引ができる要員・組織を備えていなければなりません。 - 名称の如何を問わない
支店としての実態を備えている限り、支社、営業所、出張所なども対象になります。 - 登記されている
登記の有無を問わないという意見もありますが、実務では登記を目安に備置きを検討することが多いようです。
また、備置きの際には、設置してから5年を経過していない支店であっても、5年分の総会議事録を備え置くべきと考えられています。
○「写し」とは?
支店に備え置くべき「写し」とは、原本と記載内容が全く同じものをいいます(字体は合わせる必要はありません)。
認証を要する旨の明文上の規定はありませんが、代表取締役等が原本と相違ない旨を記載して記名押印しておくのが望ましいでしょう。
次回は、総会議事録が書面ではなくデータで作成された場合の備置き方法等について説明します。
上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。