株主総会議事録の保存期間

2013年11月19日 掲載

 株主総会は、一年に一度は必ず開催され、株主総会を開催するたびに株主総会議事録を作成しなければなりません(会社法318条1項)。つまり、会社設立から年月が経つにつれて議事録の数が増えてくることとなり、保管場所に困る場合も出てきます。古い株主総会議事録であれば、廃棄してもいいのではないかと考える方がいらっしゃるかもしれません。
  そこで、株主総会議事録は、どのくらいの期間、保存しておかなければならないのかが問題となります。

○保存期間についての規定

 株主総会議事録について「株主総会終了後○年間保存しなければならない」というような保存期間を直接定める法令上の規定はありません。
 しかし、保存期間に関する規定がないからといって、株主総会議事録を短期間で処分することは許されません。

○備え置き期間

 株主総会議事録は、本店では株主総会の日から10年間、支店では議事録の写しを5年間、備え置かなければならないとされています(会社法318条2項・3項)。そして、議事録を備え置かなかったときには、代表取締役に100万円の過料が命じられます(会社法976条8号)。したがって、少なくとも10年間は株主総会議事録を保存しておかなければならないこととなります。

○備え置き期間経過後

 前述の通り株主総会議事録の保存期間についての会社法等の法令上の規定はないことから、備え置き期間である10年間の経過後については、法律上、保存義務はないとも考えられます。

 しかし、株主総会議事録は、株主総会の審議経過や議決内容等を記録したものです。そして、株主総会議事録は、関係事項の登記の添付書類や決議の効力を争う訴訟の証拠等、後日、株主総会に基づく手続や訴訟で使用されます。
 ある株主総会議事録が作成された後、何十年と経った場合であっても、何らかの紛争が生じて、何十年前の株主総会議事録が必要となる場合はありえます。また、株主総会議事録には定款変更の決議等の会社にとって重要な事項の記載がなされています。そうであれば、備え置き期間を過ぎた10年以後であっても、株主総会議事録を永久に保存すべきといえます。

○株主総会議事録の電子化

 株主総会議事録は、書面だけでなく、電磁的記録をもって作成することもできます(会社法施行規則72条2項)。また、株主総会議事録の電磁的記録による保存も認められています(会社法施行規則232条7号e-文書法3条1項)。
  ※電磁的記録による保存とは、当初から電子的に作成された書類を電子的に保存すること及び書面で作成された書類をスキャナでイメージ化し、電子的に保存することの両者を含みます。

 株主総会議事録を後の保存も考えて、電磁的記録(フロッピーディスク、CD‐ROMまたはCD-Rに記録されたもの)によって作成することも可能です。また、書面によって作成した株主総会議事録を備え置き期間後にスキャナで読み取って電磁的記録として保存することも可能となります(会社法施行規則233条1項)。
  電磁的記録として保存することで、保管場所に困ることなく保存することが可能となります。

 よって、株主総会議事録の保管の場所に困ったからといって、安易に廃棄してしまうことのないよう注意が必要です。


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