株主総会議事録の記載事項

2013年11月26日 掲載

 株主総会開催後に株主総会議事録を作成しなければならないことについて、前回まで取り上げてきました。
 しかし、株主総会議事録の一般論や形式面について理解できても、実際株主総会議事録に何を記載していいのか分からないという方もいらっしゃると思われます。
 そこで、今回からは、株主総会議事録に何を記載しなければならないか、という内容面について説明していきたいと思います。

○株主総会議事録の記載事項は法令で決まっている

 株主総会議事録の記載事項については会社法施行規則72条3項に定められています。具体的には以下の通りです。

  1. 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法を含む)(会社法施行規則72条3項1号)
  2. 株主総会の議事の経過の要領及びその結果(同2号)
  3. 会社法上、株主総会での報告事項等、会社法の規定に基づいて述べられた意見や発言の内容(同3号)
  4. 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称(同4号)
  5. 株主総会の議長の存するときは、議長の氏名(同5号)
  6. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名(同6号)

 以上6つの規定があることから、この規定に沿って株主総会議事録を作成することとなります。

○株主総会を省略した場合でも株主総会議事録は必要

 会社によっては株主が家族や親族のみで構成されている場合もあると思われます。このような場合には、株主と取締役間で意思疎通を図れることから、株主総会が大幅に省略されることも考えられます。そこで、会社法では、株主総会の決議の省略(会社法319条)及び株主総会への報告の省略(320条)という規定を設けています。

(1)株主総会の決議の省略

 株主の全員が、株主総会の目的である事項について提案した場合において、書面又は電磁的記録により同意の意思表示をした場合には、その提案を可決する旨の株主総会決議があったとみなすことができます(会社法319条)。
 ただし、株主総会決議を省略しても、以下の内容を記載した株主総会議事録を作成しなければなりません(会社法施行規則72条4項1号)。

  1. 株主総会の決議があったとみなされた事項の内容
  2. 株主総会の決議があったとみなされた事項の提案をした者の氏名又は名称
  3. 株主総会の決議があったものとみなされた日
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

 以上、4つの規定があることから、それに沿って株主総会議事録に記載することとなります。

(2)株主総会への報告の省略

 取締役は、事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならないとされています(会社法438条3項)。それに加え、会計監査人設置会社においては、計算書類の内容を報告しなければなりません(439条)。
 しかし、取締役が株主全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をした場合には、株主総会への報告があったものとして、株主総会への報告を省略することができます(320条)。
 ただし、株主総会への報告を省略しても、以下の内容を記載した株主総会議事録を作成しなければなりません(会社法施行規則72条4項2号)。

  1. 株主総会への報告があったものとみなされた事項の乃内容
  2. 株主総会への報告があったものとみなされた日
  3. 議事録作成に係る職務を行った取締役の氏名

 以上、3つの規定があることから、それに沿って株主総会議事録に記載することとなります。

 今回は、株主総会記載事項について、法令で定められている事項について説明しました。次回以降、株主総会議事録記載事項の各項目についてもう少し具体的内容を説明していきます。


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