報告事項の報告(2) ~記載方法~
2014年1月28日 掲載
前回は、事業報告、計算書類(個別計算書類)及び連結計算書類が報告事項に当たるかについての説明をしました。今回は、報告事項の記載方法について具体例を交えて説明していきます。
○記載方法
報告事項を報告した旨の記載方法としては以下の方法が考えられます。
- (1)個別計算書類の内容・事業報告の内容の報告を記載した後に、(2)連結計算書類の内容・その監査結果の報告の記載をする。
- (1)連結計算書類の内容・その監査結果と事業報告の内容(連結ベースで報告する会社が多い)を報告の記載をした後に、(2)個別計算書類の内容を報告する。
なお、計算書類と連結計算書類については、単に「計算書類」「連結計算書類」と記載する方法と「貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表」「連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表」と省略せずに記載する方法とがあります。
報告事項についての記載方法については、定まった方法は特にありませんので、記載方法については、上記の2つの方法だけでなく、株主にとって分かりやすい記載方法なにかを検討した上で決めるとよいでしょう。次に、具体例を記載したいと思います。
○具体例
○○株式会社第×期定時株主総会議事録
平成○○年6月27日(木)午前10時から○○県○○市○○区△丁目△番△号 当社本店○階大会議室において、○○株式会社第×期定時株主総会を開催した。
定刻、定款の定めにより取締役社長A議長席につき、開会を宣した。
議長は、株主の出席状況について次の通り報告するとともに、本総会は議案の決議に必要な会社法および定款の定足数を満たしている旨を報告した。
・・・・・
欠席者
監査役 甲 , 乙 及び 丙 の○名
取締役G(病気のため欠席)、取締役H(海外出張のため欠席)、
取締役I(他社株主総会出席のため欠席)の○名
続いて、議長は、監査役会の監査報告を求めた。
監査役 甲 は、第×期事業年度の監査の方法及び結果は別添の第×期定時株主総会招集通知に記載の通りであり、また、本総会に提出される議案及び書類はいずれも法令及び定款に適合し、不当な事項は認められない旨報告した。
報告事項
- 第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)事業報告(営業報告)、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表及び第×期末貸借対照表報告の件
- 第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表及び第×期末連結貸借対照表ならびに会計監査人および監査役会の連結計算書類監査結果報告の件
議長は、別添事業報告・貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の内容及び連結計算書類の内容・その監査結果につき報告を行った。
・・・・・
・・・・・
以上
次に議長は、報告事項である1.第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)事業報告(営業報告)、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表及び第×期末貸借対照表報告の件、2.第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表及び第×期末連結貸借対照表ならびに会計監査人および監査役会の連結計算書類監査結果報告の件につき、報告を行った。
上記の例は、記載方法の箇所で示した1.(1)個別計算書類の内容・事業報告の内容の報告を記載した後に、(2)連結計算書類の内容・その監査結果の報告の記載をする方法の場合の具体例です。
◆貸借対照表の記載
実務的には、「第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)事業報告(営業報告)、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表及び貸借対照表報告の件、2.第×期(平成○年4月1日から平成○年3月31日まで)連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表及び連結貸借対照表ならびに会計監査人および監査役会の連結計算書類監査結果報告の件」としてしまうことが多いです。
しかし、貸借対照表は、期間ではなくある一時点における会社の資産状況を表すものなので、「第×期末貸借対照表」「第×期末連結貸借対照表」や「平成○年3月31日現在、貸借対照表」「平成○年3月31日現在、連結貸借対照表」というように記載すべきです。
◆「報告した」と「説明した」
上記の具体例では「報告を行った」と記載していますが、実務では「説明した」と記載される場合があります。
しかし、報告事項であるので、「報告した」と記載するほうがよいと思われます。また、報告事項であるので、「了解した」や「承認した」という記載は不要です。
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