決議事項の上程及び審議(2) ~剰余金処分の件~

2014年3月5日 掲載

 前回は決議事項の上程及び審議についての上程・審議の方法について、個別審議方式一括審議方式があることを説明しました。今回からは株主総会の典型的な議案を見ていきたいと思います。

○剰余金処分の件

 株式会社は、剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当てに関する事項、当該剰余金の配当がその効力を生ずる日を定めなければなりません(会社法454条1項453条)。この株主総会決議は普通決議で行うこととなります(会社法309条1項)。
 配当財産については、株主の有する株式の数に応じて割り当てることを内容とするものでなければなりません(会社法454条3項)。
 配当というと金銭(配当金)をイメージする方も多いと思いますが、金銭だけでなく現物配当によることも可能です(454条4項)。ただし、株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利(会社法454条4項1号))を与えない場合には、株主総会決議は特別決議となります(会社法309条2項)。

○記載例

 議長から「第×期の剰余金処分の内容について、当期の配当金を○円(総額○億円)、期末配当の効力発生日を平成○年○月○日とする」等原案の説明があった。次いで、議長が本議案についての賛否を議場に諮ったところ、議決権行使書を含め、出席株主の議決権の多数の賛成をもって原案どおり承認可決した。

 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当てに関する事項、当該剰余金の配当がその効力を生ずる日を定めることとなりますが、株主に分かりやすく記載するために、配当金がいくらか、総額がいくらか、いつ配当金が貰えるかを簡潔に記載すれば十分であると思います。

 次回は、取締役及び監査役の選任についての説明をしたいと思います。


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