取締役会議事録の記載事項(2)

2014年8月20日 掲載

 通常、取締役会は3ヶ月に1回以上開催される必要があり、そこでなされた決議等の内容は取締役会議事録に記載しなければならないことは前回説明しました。
これに対し、会社法では、取締役会決議が省略することができたり、取締役会への報告の省略が認められている規定があります。しかし、これらの省略がなされた場合でも取締役会議事録への記載をしなければならないとされています。そこで、今回は、省略がされた場合の取締役会議事録への記載方法についての説明をしたいと思います。

○全取締役の同意により決議を省略した場合の取締役会議事録の記載事項

 取締役の全員が書面又は電磁的記録により提案に同意する意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会決議があったものとみなす旨を定款で定めることができます(会社法370条)。これは、いわゆる書面決議と言われるもので、定款で定めることによって、取締役会を開催しなくても取締役全員が書面又は電磁的記録で賛成をすれば取締役会決議があったとみなされるものです。
 このように書面決議によってなされた場合であっても、取締役会議事録への記載をする必要があります(会社法施行規則101条4項1号)。そして、記載しなければならないとされているのは下記の4項目です。

  1. 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容(会社法施行規則101条4項1号イ)
  2. イの事項の提案をした取締役の氏名(会社法施行規則101条4項1号ロ)
  3. 取締役会の決議があったものとみなされた日(会社法施行規則101条4項1号ハ)
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名(会社法施行規則101条4項1号ニ)

○取締役会への報告の省略があった場合の取締役会議事録の記載事項

 取締役会の権限には取締役の職務の執行の監督があるので(会社法362条2項2号)、取締役、会計参与、監査役又は会計監査人は取締役会に対して報告すべき事項の報告をしなければなりません。しかし、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しません(会社法372条1項)。
 ただし、代表取締役・業務執行取締役は3ヶ月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない(会社法363条2項)とされており、この報告についての省略はすることはできないので注意が必要です(会社法372条2項)。
 取締役会に対する報告を省略した場合であっても、取締役会議事録への記載をする必要があります(会社法施行規則101条4項2号)。そして、記載しなければならないとされているのは下記の3項目です。

  1. 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容(会社法施行規則101条4項2号イ)
  2. 取締役会への報告を要しないものとされた日(会社法施行規則101条4項2号ロ)
  3. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名(会社法施行規則101条4項2号ハ)

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