取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称

2014年9月3日 掲載

 前回は取締役会議事録記載事項のうち「取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)」の説明をしました。今回は「取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称」(会社法施行規則101条3項7号)の説明をしたいと思います。

 法令上要求されている取締役会議事録記載事項には取締役会に出席した取締役を記載すべきとの規定はありません。他方で、「取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称」については会社法施行規則で記載事項とされています。
 このように出席取締役及び出席監査役の記載が義務付けられていないのは、実務上、取締役会議事録の末尾に署名又は記名押印をしなければならないからとされています。

 しかし、会社法上、取締役会決議については、議決に加わることのできる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合であっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行われます(会社法369条1項)。つまり、取締役1人につき1議決権による頭数での多数決で行われ、定足数は全取締役の過半数です。
 取締役会決議の決議要件を充たしているか否かを取締役会議事録に記載することは法律上必要です。
 したがって、取締役会に出席した取締役についても取締役会議事録に記載すべきです。そして、監査役が監査という立場上、出席した以上は取締役会議事録に記載すべきということとなります。

●具体例

 まずは、取締役と監査役の出席状況と同時に決議に必要な定足数について記載している例です。

取締役総数 ××名
出席取締役     取締役社長  A
ならびに監査役   取締役副社長 B
 ・・・
取締役   G
監査役   甲
監査役   乙
監査役   丙

出席取締役 総数○○名中次の××名出席
A会長、B社長、・・・・、F取締役
欠席取締役  G 取締役(△△△のため)
出席監査役  甲 常勤監査役、乙 監査役、丙 監査役(社外監査役)
欠席監査役  α 監査役(△△△のため)

出席取締役
A 、 B 、・・・・
出席監査役
甲 、乙 、・・・・
議長 A社長議長席につき、取締役××名中法定の議決に加わることのできる取締役の過半数○○名の出席があり、本取締役会は有効に成立した旨告げた後、・・・・

 取締役会には、業務執行取締役選定の規定がありますし(会社法363条1項2号)、会社役員の地位及び担当は事業報告の記載事項である(会社法施行規則121条2号)ことから、全員一律に「取締役」のみの肩書ではなく、「社長」や「専務」等の役職名を付けるべきです。


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