決議事項 ~連結計算書類提出の承認~

2014年10月1日 掲載

 前回は個別の計算書類の場合における承認についての取締役会議事録への記載方法について説明しました。今回は連結計算書類の承認について説明したいと思います。

○連結計算書類とは?

 連結計算書類は、連結貸借対照表連結損益計算書連結株主資本等変動計算書並びに連結注記表を指します(会社計算規則61条1号イ~ニ)。
 昨今、特に大企業については、1つの会社で構成するのではなく、子会社を含めた企業グループを1つの企業とみなして、グループを構成することが多くなっています。そこで、グループ全体の計算書類を見ることができる連結計算書類は重要なものとなっています。

○連結計算書類の手続

 連結計算書類提出の承認についても、前回の計算書類等の提出及び業績開示の承認の場合と同様に、会社法で記載方法は規定されていません。
 事業年度末で、大会社で、かつ、有価証券報告書を提出する義務のある会社には連結計算書類を作成しなければならないとされています(会社法444条3項)。それ以外の会社であっても会計監査人設置会社については連結計算書類を作成することができるとされています(会社法444条1項)。
 連結計算書類は、監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければなりません(会社法444条4項)。監査を受けた後に、取締役会の承認を受けることとなります(会社法444条5項)。取締役会の承認を受けた後は、連結計算書類を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならないとされています(会社法444条7項)。したがって、連結計算書類が取締役会の承認事項である以上、決議がなされれば、取締役会議事録に記載される必要があります。
 なお、法令上の規定はありませんが、連結計算書類の承認は、個別計算書類の承認と同じ取締役会で得ることが実務的には多いようです。

○具体例

第2号議案 第○期連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表の提出承認の件

 議長は、第○期連結計算書類の概要について、別添資料に基づき説明し、監査役及び会計監査人の監査を受けるため提出することを承認願いたい旨提案し、この賛否を諮ったところ、全員異議なく本議案を可決した。


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