決議事項 ~支配人その他の重要な使用人の選任及び解任~

2015年2月18日 掲載

 前回までは「重要な財産の処分及び譲受け」、「多額の借財」について、取締役会決議による必要があるという説明をしました。今回は、「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」についての説明をしたいと思います。

○取締役会決議

 「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」については、取締役会の権限とされており、取締役に委任することはできません(会社法362条4項3号)。したがって、「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」については、取締役会決議により決定しなければなりません。
 そして、取締役会決議があった場合には取締役会議事録への記載が必要となります。

○支配人とは?

 会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有しています(会社法11条1項)。現実に支配人という名称を使われている必要はなく、支店長・店長・マネージャー等様々な名称が使われています。

○重要な使用人とは?

 「重要」か否かは使用人の権限によって決まります。つまり、「重要な使用人」とは、使用人として最高の権限を有している者のことで、一般的には、本部長・工場長・研究所長・役員に準ずる理事・監事等です。職務規則等で定義し取締役会決議によって決定しておけば、誰が「重要な使用人」に当たるかが明確になるといえます。

1.所属長の人事異動について

α専務取締役から下記のとおり所属長の人事異動を行いたい旨を提案し、議長これを議場に諮ったところ全員異議なくこれを決議した。

東京支店長 A 大阪支店長 A
大阪支店長 B 千葉工場長 B
名古屋工場長 C 新潟支店長 C

○実務上の問題

 支配人という役職名を付けても会社法上の支配人でない場合、支店長という役職名をつけても実質的には取締役から課長クラスと幅広い階層の人が就いている場合、本部長等より資格や職務権限は若干下がるが、秘書室長等の仕事柄重要なポストに就いている者をどのように扱うかが実務上の問題といえます。


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