意見又は発言内容の概要2

2015年3月25日 掲載

○取締役会での取締役や監査役が意見を述べた場合についての記載例

 前回は、「取締役会における取締役等の意見について法定されている事項」に関して説明をしました。今回は、法定の事項にかぎらず、取締役等が意見や発言した場合の取締役会議事録での記載について、具体例を入れながら説明したいと思います。

・・・・・・・・担当取締役から上記計算書類についての詳細説明があり、出席者より質疑応答があった後、議長から本議案の計算書類は第×回定時株主総会に付議したい旨を諮ったところ、出席者全員が承認した。

 監査役には取締役会への出席義務があります(会社法383条1項)。したがって、ここでの「出席者」に含まれますので、「出席者より質疑応答があった」と記載することで、監査役の取締役会での意見があった旨の記載がされたこととなります。また、この「出席者」の中には出席している取締役も当然に含まれます。

1.A株式会社への融資について

甲取締役から、A株式会社への融資について、末尾添付の「A株式会社に対する融資の件」にもとづき、次のとおり提案があった。

平成◯年◯月   ×××百万円
平成◯年◯月   ×××百万円
平成◯年◯月   ×××百万円


    計       ×××百万円

(意見、質疑応答の要旨)
ア.・・・・・・・・(甲取締役)
イ.・・・・・・・・(乙常務取締役)
   ・
   ・
   ・
ク.・・・・・・・・(α監査役)
ケ.・・・・・・・・(乙常務取締役)

よって、議長がこれを議場に諮ったところ、全員異議なくこれを決議した。

 商事法務研究会の調査によると、常務会や経営会議等の取締役会以外の会議体で事実上重要な業務執行の決定をしている会社は約83%にも及びます。このように重要な業務執行の決定は、大部分の会社では実質的に常務会等の別の会議体で行われているので、取締役会は形骸化され、あまり活発な意見は出ていません。
 ただし、活発な意見が出た場合には、その意見について具体的に記載しておくべきです。意見を述べておけば、取締役の責任追及訴訟で敗訴し、判決の連帯債務の部分で取締役間の負担割合が問題となったとき、有利に働く可能性が大きいといえます。また、議案に反対の場合には、その旨を取締役会議事録に記載しておかないと決議に賛成したものと推定されてしまいます(会社法369条5項)。
 したがって、取締役の意見や発言についてはできるだけ具体的に記載しておくべきです。


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