議事の結果(評決)2

2015年5月7日 掲載

○決議事項について「決めた」場合の文言の使用方法

・・・したい旨を述べ、その承認を議場に諮ったところ、原案どおり可決(決定)した。

・・・につき、賛成を求め、採決の結果、全員異議なく同意した。

 取締役会において決議事項を決めた場合においても、取締役会議事録に記載する文言は様々なものが考えられます。例としては、「承認可決」「可決」「決定」「同意」「了承」「承諾」「承認」「決議」等が考えられます。
 これらの文言について、法律上明確に区別することは困難であるといわれています。

○「承認」と「決議」

 ただし、「承認」と「決議」では意味合いが異なると考える人もいます。このような考え方の一例としては、「決議」は取締役会が決定権限を持ち、その決議で権限関係が完結するような場合に用いられるとしています。他方、「承認」は、取締役会での決定後に、株主総会で承認を受ける場合や報告をする場合、あるいは取締役会で報告をする場合のように取締役会での承認だけで権限関係が完結しないような場合に用いられるとしています。

○「承認可決」

 取締役会議事録では「承認可決」という文言が使われることが多いですが、これについても問題があります。
 「承認」も「可決」も、「決議される」という意味では同義であり、同義を並べただけの記載ということとなります。
 会社法上は、「当該提案を可決する旨の取締役会の決議」(会社法370条)と記載されていることから、単に「可決」という文言を用いるのがいいのではないかと思います。

○「同意」

 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その出席取締役の過半数をもって決議を行うとされている(会社法369条1項)ことから、取締役会においては、取締役が各1票ずつ議決権を有していることとなり、取締役間での優劣はなく、平等・対等な立場といえます。
 しかし、「同意」とは、提案者の提案に対して、その法律効果を生じさせる意思表示であり、平等な立場によるものとはいえない面があります。したがって、取締役会議事録において「同意」という文言を使用するのはやや不適切といえます。

○まとめ

 取締役会議事録には、特に定まった記載方法はありません。そこで、「決議」「承認」「可決」という文言を、決議の態様により区別しながら使用するのがいいのではないかと思います。


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