特別利害関係人の取締役会での決議1

2015年5月13日 掲載

○特別利害関係人は決議に参加できない

 取締役会決議において、その決議に利害関係を有する取締役は、議決に加わることができません(会社法369条2項)。また、会社法では取締役会決議の定足数を「議決に加わることができる取締役の過半数」の「出席」としており、特別利害関係人はそもそも定足数にも算入されません(会社法369条1項)。
 そして、特別利害関係人が議決に加わることができないことから、誰が利害関係人であることを明確にしておく必要があります。そこで、会社法施行規則では、決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名を取締役会議事録に記載することとしています(会社法施行規則101条5項)。

○特別利害関係人に当たる場合の記載例

1.××の件

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上記原案に対し、審議の結果、議長より議場に賛否を諮ったところ、出席取締役全員異議なくこれを承認可決した。なお、甲株式会社の代表取締役を兼務している取締役Aは特別利害関係人のため、この決議に参加しなかった。

 この例のように、なお書きで特別利害関係人のことを記載することが多いようです。この記載により、Aが特別利害関係人に当たること、及びAが決議に参加していないことが明らかになっています。

第1号議案 株式会社甲への資金貸付について

 議長は、代表取締役Aが株式会社甲に対して、運転資金×××万円を下記のとおり貸し付けたい旨を述べ、その可否を議事に諮ったところ、出席取締役全員が異議なくこれを可決した。
 なお、代表取締役Aは、特別利害関係人に該当するため、この決議には参加せず定足数には算入されない。

(1)貸付日  平成×年×月×日
(2)貸付金額 ×××万円
(3)利率   年×%
(4)返済方法 平成△年△月△日に元本及び利息を一括して返済する
(5)使途   運転資金

 この記載例では、より詳細に定足数に算入されないということまで記載されています。

 代表取締役Aが、議長として取締役の全員と監査役の全員が出席していることを確認したのち開会を宣し議事に入った。なお、第××号議案である代表取締役解任決議の件については、議長である代表取締役社長Aが特別利害関係人であるため、代表取締役副社長Bが議長となり、議事を進行した。

 この記載例は、開会宣言等の最初の段階で記載していますが、これでもどの議案について特別利害関係人かが分かりますので、このような記載でも問題はありません。


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