署名又は記名押印1

2015年6月17日 掲載

 今回は、取締役会議事録への署名又は記名押印と保証文言についての説明をしたいと思います。

○取締役会議事録への署名又は記名押印の必要性

 取締役会議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければなりません(会社法369条3項)。電磁的記録によって取締役会議事録が作成された場合には、電子署名によることとなります(会社法369条4項会社法施行規則225条1項6号、同2項電子署名法2条1項)。

○保証文言

 取締役会議事録へは、高度な経営判断についての内容等どのような説明があり、どのような意見があったのかという、意思決定の過程を明らかにし、それを記載する必要があります。そして、その意思決定の過程についてはどの取締役・監査役が出席し、どの取締役・監査役によってどのような意思決定がなされたのか、責任の所在を明らかにする必要があります。そこで、取締役会議事録に出席取締役・監査役の署名又は記名押印をする必要があります。
 そして、その署名又は記名押印の前に、議事の経過や結果を証明したり、明確にするために署名や記名押印が必要であるとの文言を入れることとなります。それをいわゆる「保証文言」といいます。

●記載例

上記議事の経過および結果を証するため、出席取締役および監査役が記名押印をする。

上記議事の結果ならびに結果を明確にするため、出席取締役ならびに監査役全員、下記のとおり記名押印する。

上記議事の要領と結果を明らかにするため、出席取締役および監査役の記名押印をする。

議事の経過要領および結果を明らかにするため、この議事録を作成し、出席取締役および出席監査役は次に記名押印する。

上記決議を証するため議事録を作成し、出席取締役および出席監査役は記名押印をする。

 これらの記載例について、「議事の経過および結果」等、議事録の内容をどのような文言にするかという問題があります。
 この点、特にどのような文言にしなければならないという法令はありません。そして、実務的には、「議事の経過および結果」という記載が圧倒的に多いです。「決議を証する」「決議を明確にする」という記載例もあります。
 ただし、会社法施行規則には、「取締役会の議事の経過の要領及びその結果」(会社法施行規則101条3項4号)という規定がなされている以上、その文言を使うことが丁寧ではないかと思われます。


上記内容は掲載日時点の法律に拠っています。最新の情報ではない可能性がありますのでご注意ください。