少数株主の決議抵抗

2011年12月27日 掲載

 少数株主の決議抵抗

 前回の株主総会の記事で、総会の意思決定は資本多数決(1人1票ではなく、より多く出資している者が多数の議決権を持つ1株1議席での多数決。会社法308条1項)で行われるため、どうしても大株主の意見が強く反映されるといいましたね。
 いくら決議に反対していても、いったん成立した決議には従わねばなりませんし、これでは大株主と意見の異なる少数株主は手の打ちようがないじゃないかと思われた方もおられることでしょう。

 しかし、多数派株主が私利私欲に基づいて決議を行い、会社や他の株主に損害を与えるのは資本多数決の濫用です。
 では、少数株主はどうやって自分の意思を表明・反映させればよいのでしょうか。

 まず、決議を覆す方向の対策としては、決議に特別の利害関係を持つ株主が議決権を行使し、不当な決議を導いた場合に、この取消しを求める「株主総会決議取り消しの訴え(同831条1項3号)」があります。
 また、株主平等原則(各株主は保有株式に応じて平等に扱われるべきというもの)や株主有限責任原則(株主は保有株式の購入価格までしか義務を負わないというもの)に反する決議が成立した場合は、違法性が強いため、「株主総会決議無効確認の訴え(同830条2項、834条6項)」によって無効を主張することができます。

 決議の成立を認めつつ、それに反対の株主を救済する方法としては、株式の買取請求権があります(同116条、785条等)。
 これは、資本多数決の原則を貫きながらも、反対株主が出資の払戻し(株式買取)を受けて会社から離脱するのを認めるもので、出資払戻禁止原則(株式は転売できるので、払い戻しは認めないという原則)の例外ともいえます。
 決議に反対の株主は、その旨を事前に書面または電磁的方法で会社に通知し、総会でも反対すれば、決議が成立した際に、会社に対して自己保有株式を公正な価格で買取るよう求めることができます。
 このとき、会社の承諾は必要ありません。
 買取価格に関して当事者の折り合いがつかないときは、裁判所に価格の決定を申し立てることもできます(同117条)。
 少数株主であっても、集団でこの方策をとればある程度の意思表明が可能なのです。


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